新球場問題ですが、一応の解決を見ることができました。
問題発生時の記事はこちら↓
球団のHPでまず、今後の対応について説明されていますので抜粋します。
(前略)
具体的には、FSEにおいて2023年シーズンオフ以降にバックネット裏エリア建築構造体の改築およびフィールド改修工事を行い、公認野球規則の基準に合致したスタジアムとすべく、設計会社や施工会社と改修計画を進めていくという内容で、これを条件に2023年シーズンの当球団のエスコンフィールドHOKKAIDO使用についてNPBと11球団の同意を得ました。
本件が発生した原因として、FSEおよび当球団において公認野球規則の解釈、認識が不十分であったことが挙げられ、もっと早期に本件について自ら気付き、関係各所に相談すべきであったと受け止めております。このような事態を招きましたことを、プロ野球界に関わる方々、エスコンフィールドHOKKAIDOの開業を楽しみにしてくださっているファンの皆様へ、心からお詫び申し上げます。
北海道日本ハムファイターズHP
経緯については以下のように説明しています。
エスコンフィールドHOKKAIDOの本塁からバックストップまでの距離が50フィート(15.18m)で設計され、NPBから日本の公認野球規則の基準を満たしていないと指摘があり、11月7日(月)の実行委員会において日本野球規則委員会等に事前の確認をとらず、進め方が適切でなかった点をお詫びしました。すでに建設工事は開業を4か月後に控えて最終段階を迎えており、来春までの改修が現実的でないことを説明しましたが、NPBならびに他球団から問題が解消できるか否かの判断材料を示すよう求められました。
<独自の解釈が生じた背景>
今回、エスコンフィールドHOKKAIDOの設計を担当した米国設計会社HKS社[本社:アメリカ・テキサス州]より、米国の公認野球規則(OFFICIAL BASEBALL RULES)に準じたMLBにおいては問題がない旨の説明を受けました。OFFICIAL BASEBALL RULESの原文を確認し、本塁からバックストップまでの距離として記載のある60フィートは推奨(recommend)と解釈しました。
北海道日本ハムファイターズHP
来年度は現状の規格でそのまま使用可能になったことで、無事にエスコンフィールドでの開幕ができるようになったこと、その点は良かったと思います。
今から作り直しでは来季開幕には間に合わない、でも新球場オープンでNPBを盛り上げたい、というNPBの思惑が勝ったのか、2年間は現状の規格で、2年後にはNPBの規格に合わせて改築するということで一応の決着を見ました。
経緯の説明としてですが、設計会社がアメリカの規格のまま、進めたことが原因なのですが、設計会社も日本の球場を建設しているのに、なぜ、MLBに確認をしてNPBに確認をしないのか疑問に残りますが、一番問題なのは、やはりファイターズ側であることは間違いないと思います。
球団が15mがNPBの公認野球規則では違反になっていることを知らなかった、と考えるのは50年近く球団運営している企業としては信じられないですし、作ってしまえば、こっちのものという確信犯的な考えがどうも見え隠れしているように感じます。
どうしても作りたかったなら、なぜNPBに事前に相談、報告しなかったのか。もし事前報告していれば、NPBが反対しても世論を味方にして規則変更の機運を高められたし、それから堂々と15mで着工することができたはず。
今回、この問題が表面化したことで、世間の意見では別に15mでもいいのではないか、という意見もあるし、NPBの井原事務局長もなぜ、この60フィートなのかという明確な回答は持ち合わせていないようです。
本塁後方ファウルゾーン60フィートなぜ必要?井原事務局長「答えるものを持っていない」(日刊スポーツ)
(前略)
NPBの井原敦事務局長は「プロ野球のルールというのは、昔からいろいろ変遷してきたもの。ピッチャーとバッターの間の距離もなぜ、その距離なのかと言われると答えるのが難しいのと同じように、この60フィートというのも実際にいろんな試合、プレーを積み重ねる中で60フィート、もしくはそれ以上が必要であると基準になったんだろうなと思いますけど、それがなぜ、どのような具体的な理由と言われると、ちょっと答えるものを持っていないので申し訳ありません」と、回答した。(後略)
日刊スポーツ 2022/11/14
この言葉を聞くとNPBへの批判が高まりそうですが、これだけ根拠が薄い規則ならば、正式な手続きをとって規則の改訂を進めていれば、すんなり変更できたようにも思います。
結局、改築をしなければいけなくなったのは、約10年前のズムスタの建築時の件も関係がありそうです。
ズムスタの場合は、わずかに足りない程度だったのですが、NPBに相談したところ規約通りに建築するようにと指示があったので、その通りに建築したという経緯もあるので、ファイターズだけ例外を認めるわけにはいかなかったということです。
ファイターズがしっかりした手順を踏まなかったことで、この規則改訂への動きも鈍くなりそうです。物事を進めるには、やはり筋を通さないでやると、失敗するという社会のルールを思い知らされましたね。
今回の件でNPB側に手落ちがないか?というと、やはりなぜこの時期まで問題提起することができなかったのか?という疑問は残ります。
NPBもまさかMLBの規則しか確認しないで球場建設することは想定外だったとは思いますが、気持ちのどこかに「規則通り建築してくれるだろう」という「〜だろう」的な思考がどこかに残っていたのでは?と思います。
自動車教習所でも「だろう運転はするな」とよく言われていると思いますが、どんな仕事でも「だろう」でやっていると痛い目にあってしまう、格好の例になってしまいました。
NPB側の審査についても疑問は残ります、というのは表向きな感想で、実はNPB側も黙認しようとしていたが、一部の球団からクレームが出たために対応せざるを得なかったようにも感じます。
そのクレームを出した球団も、「ファイターズさん、ちょっと調子に乗ってんじゃねえよ」、と思っていたところ、付け入る隙を与えてしまって、この時期に大騒ぎになったとは考えるのは穿った考えでしょうか。
野球界の明るい話題になるはずだったエスコンフィールドの開場、これがこんな形でケチをつけてしまったこと、ファイターズはこれを機に、真摯に球団運営に取り組んで欲しいものです。
最後に日刊スポーツに記者の解説のコラムがわかりやすいと感じたので、リンクを貼っておきますので、ご覧になってみてください。
【記者の目】甘かった日本ハムの認識、気付けなかったNPB 新球場承認の手続き明文化が必要(日刊スポーツ)
というわけで以上、ハムかつサンドでした。
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