ファイターズ新庄監督がマスコミに話していたレンタル移籍、果たして実現は可能でしょうか?
個人的な意見としては難しい、と言わざるを得ません。
今回はレンタル移籍について、そしてなぜ実現が難しいのか、そのことについて書いていきたいと思います
レンタル移籍とは
そもそもレンタル移籍とは何なのか?まずその点から見て行きましょう。
期限付き移籍(きげんつきいせき)は、サッカーなどのプロスポーツにおいて、選手が現在所属しているクラブとの契約を保持したまま、期間を定めて他のクラブに移籍する制度。
英語ではloan deal(ローン取引)という。なお、日本のメディアではしばしばレンタル移籍という表現が用いられるが、rentalは動産・不動産など物を対象とした貸与に使用される言葉であり、英語では人を対象とした移籍にrentalは用いられない。
この制度に、通常の移籍(完全移籍)にしばしば見られる移籍金は発生しないが、移籍先のクラブから移籍元のクラブに対して貸与料を支払う、選手報酬の支払いを肩代わりするという形態が一般的である。
Wikipediaー期限付き移籍より
例としてよく挙げられるのが、若手選手を他球団にレンタル移籍するというケース。
移籍先チームは戦力の補強になるし、移籍元チームでは戦力の問題で一軍で育成できない選手を別の環境で育成してもらうという制度でうまくいけば、Win-Winの関係になる期待が持てる制度です。
過去にもあった提案
実はレンタル移籍導入の提案は、今に始まったことではありません。
楽天創設時に導入の提言をしたものの、結果的に見送り、そして現在に至っています。
【解説】レンタル移籍、創設1年目楽天が導入積極的だった過去も ルールや文化、高いハードル(日刊スポーツ)
楽天の提言の前にもJリーグがスタートした時に、当時聞き慣れないレンタル移籍という言葉がメディアに話題になったこともあり、「野球にもレンタル移籍導入を」という意見はあったと記憶していますので、今回の新庄監督の提案は新鮮どころか実は、かなり前から意見としては存在していた話題です。
実現が難しい理由
12球団の足並み
なぜ、楽天の提言時に実現に至らなかったのか、そして現在まで実現されないのか、その点を考えて行きたいと思います。
まず、最初に挙げられるのが、12球団統一ルールを作成する事が困難な環境であること。
これは、本当に情けない話ですがネット中継でさえ、12球団統一で視聴できる環境すら、お互いの利害関係が優先され実現できない団体です。そんな団体が戦力補強のルールを作るとなると、ハードルの高さはそれの比ではないような気がします。
当時の楽天の戦力では、戦力不足をルール変更で補おうとしていると感じられたことも考えられるし、その点では今回のファイターズ監督からの提言もそれと同様に捉えられる可能性はありそうです。今のファイターズがお世辞にも、決して強いチームではありませんからねえ。(汗)
サッカーと野球の文化の違い
あと、レンタル移籍という概念が野球というスポーツの文化に適していない、そのことも大きいと思います。
レンタル移籍が活発なのはサッカーですが、野球と異なる点としてはどの様なところでしょうか?
野球は建前では各チームの戦力は均等化させるという考えがあり、ドラフトやさらにMLBではサラリーキャップ制度も導入しているのもそのためです(※野球というよりアメリカスポーツがという書き方が正しいかもしれません)
一方、サッカーは各クラブの戦力均等化という考えはなく、クラブそれぞれのスケールは千差万別で、クラブ全てが優勝を狙っているわけではありません。それぞれ身の丈にあった経営が求められます。
サッカーの世界のレンタル移籍の主な用途としては、ビッグクラブは中堅以下のクラブに有望な若手を移籍させ、出場機会を与えて育成に充てる、反対に中堅以下のクラブの場合は、ビッグクラブで埋もれている選手をレンタルしてもらい即戦力として活躍してもらう、といった様にクラブの規模に応じて、レンタル移籍を大いに利用できる環境があるといえるでしょう。
野球の場合はどうでしょうか?サッカーほど球団の規模の差違はありませんし、一応どの球団も建前上、優勝を目指しています。その文化のためか、サッカーの様に、格上のチームが格下のチームに余剰戦力を与えると言った余裕はないと思われます。
野球独自のサインプレー
あとよく言われるのは野球はサインプレーが多いため、移籍が発生する度、サインを変更しなければいけないリスクが発生することですね。
もし、これが原因ならシーズン中のトレードもできないのでは?という意見もあるんですが、レンタル移籍を認めると、今まで以上にシーズン途中でのサインの変更が頻発してしまうというリスクもあります。
もっともシーズン途中のトレードは年に12球団含めてそんなには発生していませんので、やはりサイン変更の手間・リスク及び情報漏洩に繋がりかねないので、あまり積極的に進めたくないという背景もあるのではないかと思います。
移籍そのもののルール
あとこれはサッカーの世界の話ですが、同一リーグ同士のレンタル移籍は制限があるということです。 同一リーグなら本来の所属先のチームと対戦することもありますし、レンタル選手が出場するとなると、利害関係がややこしくなります。
大体のケースでは、移籍元チームとの試合では出場できないように契約している場合が多い様です。
あとやはり、レンタル移籍というのは交換相手というものがありません。
野球のトレードという考えは金銭トレード、たまに無償トレードもありますが、基本的には選手同士の交換トレードが一般的です。
しかし、サッカーは野球の様な考えだと金銭トレードが一般的で、選手の移籍に対しての獲得方法が異なるのでサッカーで発展したレンタル移籍というルールは野球にはそぐわない考え方と見ています。
まとめ
以上、書いてきたようにレンタル移籍導入がなぜ難しいのか?その理由について書いてきました。
挙げられる理由としては
- NPB各球団の足並みが揃わない
- サッカー発の文化のため、野球にはそぐわない
- サインプレーがあるため、活発に選手間の移動ができない
- 野球は交換トレードが主である
以上が考えられることを書いてきました。
しかし、各球団の事情により、折角の才能が埋もれたまま、選手生命が終了してしまうのは、選手個人にとっても、球団、そして日本球界にとってもマイナスになってしまいます。
選手の才能が発揮できる環境を作ってあげること、それが野球の発展につながること、そのことは絶対におざなりにしてはいけないことです。
現在、現役ドラフトの実現のために動いてはいますが、NPB発展につながるようなルールを作成していただきたいですね。
というわけで以上、ハムかつサンドでした。
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